マツタケから考える自然との共生

秋の味覚の代表ともいえるのがマツタケ。そして、マツタケといえば、とても高価で貴重なもの。でも、昔はそんなに高価で貴重なものではなかったのです。では、なぜそうなったのでしょう?

一番の理由は生産量が減ったことです。1950年代には年間3千~7千㌧近くとることができたのに、60年代からは千㌧以下の年も出るようになり、その後もどんどん少なくっていきました。では、なぜ生産量が減ったのでしょう?

それは、マツタケはアカマツ林に生えますが、そのアカマツ林が減少してしまったことが大きな原因です。戦後の山村復興のため、パルプの材料のため、アカマツ林は伐採されていきました。その後も伐採されつづけ、宅地やゴルフ場造成のため失われた近郊のアカマツ林もたくさんありました。

アカマツ

そして、アカマツ林に対する手入れが行われなくなったことも大きな原因となっています。かつてアカマツ林は農山村の生活の一部になっていましたが、しだいに山村の生活様式や社会の変化の影響を受けるようになっていきました。これまでアカマツ林からとっていた燃料や肥料が、石油・ガスや化学肥料へ、材料としてのアカマツ材は輸入木材へと変わっていきました。山を育てていた人々も都市部へ流れ、人の暮らしとのつながりを失ってしまい、アカマツ林の手入れがなされなくなってしまいました。そのためマツタケも育たなくなってしまったのです。

自然との共生

アカマツ林にかぎらず、里山、森林などの環境を守るためには、人が自然に対して適切な手入れをすることが必要なのでしょう。それが、人と自然との共生なのでしょう。